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​◇「ハラスメント問題」にどう向き合うべきか

男女雇用機会均等法ではセクシャルハラスメント等のハラスメントに事業主が対策を取ることが義務付けられています。

​ 当事務所の見解としては、社労士が関わるべき「ハラスメント」は裁判が起きた場合にどうなるのかの判断だと考えております。また、精神保健福祉士が関わるべき「ハラスメント」はその背景及び当事者の今後までケアすることだと考えております。当事務所はその両方の視点で「ハラスメント」に向き合います。

 当事務所は「ハラスメント」は世代間のギャップや認識の違いによって生まれる不幸なすれ違いの部分も大きいと捉え、誰かを悪者にするのではなく、新しい価値観を丁寧に解説しトラブルを未然に防ぎ、事業所が本来の業務を全う出来るようにお手伝いしていきます。

​◇「ハラスメント」のような問題が表面化するようになった背景

日本は終身雇用制が就業方法の中心でした。それが、バブル期を経て終身雇用以外の就業方法が増えたことにより、終身雇用の形をとっていない労働者人口が爆発的に増えたのです。正社員であっても転職をする労働者も増え、その転職をあっせんする企業も増えました。会社の中でプライベートも過ごすという労働者が昔と比べて格段に減ったのです。これは若者の考え方の違いというよりもその労働環境の変化にさらされた結果の若者の生き残り戦術と捉えた方が良いように感じます。業務上の付き合いとプライベートの付き合いが同じ人間になることは大いにあり得ますが、それが、必ず同じである必要がなくなったのです。

​ そうなれば、会社内の人間関係で必要以上に我慢することはなくなり、労働という割り切りをする労働者が増えることになります。

 その為、現在求められている就業環境は『プライベートを密接に関わることによる仕事をする上での価値観の共有』から『労働パフォーマンスを向上させる為のプライベートへの配慮』に変化してきているのです。となれば、これまで主流だった会社慣習での価値観共有は統一感が薄れていくでしょう。これからは法規範と明確化したルールの周知が必要となります。これまで以上に『権利と義務』を重視した『契約社会』となるでしょう。こういった時代に対応するためにも社会保険労務士を活用していただきたいと思います。

​◇「ハラスメント」対策をした方が良い理由

たにばた社会保険労務士事務所では、このハラスメント対策はしっかりしていただきたいと考えています。その理由は

※従業員同士のハラスメント行為だとしても企業の責任が問われることが多い

※ハラスメント行為の訴訟は社会的関心が高く、価値観の変化が大きい為に過去の判例で対応しきれない判例が生まれやすい

※訴訟になってしまった場合、企業の自浄努力は好意的に考慮されやすい。自浄努力は法律を遵守し丁寧に対応すること。決して必要以上の譲歩を求めてはいない

上記3点です。

 このハラスメントについてはパワハラなど過重労働との関連付けで労災認定にも関係することもあり、今後の労働裁判での取り扱い方はかなり被害当事者に配慮した判決になることが予想されます。さらに、このハラスメント問題は社員教育が大変難しいものでもあります。企業の自己防衛システムをしっかり構築しておく必要があります。

​当事務所ではこういった問題に対する労務コンサルティングだけでなく当事者に対するカウンセリングも実施しております。

​◇事業所が司法判断になる前にしておくべき対策

1:企業の姿勢を表明し、周知する

事業主がハラスメント行為を認めないという姿勢を取ることが重要だとされています。そして、その姿勢は従業員に対して周知しなければ効果を発揮しないとされています。この認めないという姿勢の中にはハラスメント相談窓口の設置も含まれています。そのため、この相談窓口の存在を従業員に知らせるということに加えて相談の仕方等も説明することが望ましいでしょう。当事務所ではどういった周知方法が良いかの相談も受け付けております。

2:相談が来たら必ず双方から同じ条件で話を聞く

実際に同じ条件で話を聞かなかったことで企業側に不利な判断をされた判例があります。例え当事者同士が上司と部下の関係であったとしても、決めつけずに話だけを聞く機会を作る必要があります。解決を急ぐあまりコントロールしやすい方向に企業側が持っていくと、感情の矛先が企業に向いてしまいます。結果、被害当事者が加害当事者と企業を同一視してしまい、トラブルが大きくなってしまいかねません。

3:「無理やり解決」よりも「解決に向けた丁寧なアプローチ」を

結論としては『中立の立場で解決に向けた丁寧なアプローチ』が求められます。これは「無理やり解決」した行為よりも実際に裁判になった場合には有効な解決行動として認められています。誤解が生じやすいところですが、企業側の責任は『問題を形式上解決する』ことの方が重くなる傾向がとても強いのです。たとえ解決しなくても『解決に向けた努力』の方が評価されます。

​ 当事務所ではこういった『問題解決に向けての努力』に対して企業と二人三脚で取り組んでいます。当事務所は些細な相談でも真摯に受け止め対応させていただきます。

​◇労働者が出来る「ハラスメント」対策

労働者は雇用主と「労働契約」を交わしています。これは「労働を提供することで対価を受け取る」契約です。そのため、「労働の提供」が難しくなるということは雇用主、労働者双方にとって良いことではありません。早急に解決の道を探ることをお薦めします。

 では、どのように解決の道を探っていけば良いのでしょうか?それは本当にケースバイケースだと思います。まず、就業場所にハラスメント対策室や対策窓口があればそこを活用します。そこにない場合は直属の上司に相談します。しかし、その直属の上司が加害当時者であった場合はその上の上司に相談します。つまり、より上位の方に相談しましょう。また、その会社に社会保険労務士が顧問としていれば心強い味方になりえます。

 それでも解決しない場合は外部の社会保険労務士、労基署に相談、または弁護士による民事訴訟ということになります。個人的には民事訴訟は本当に最後の手段だと考えています。​

​◇思いもよらず加害者にならないために

この昨今のハラスメント行為に対する啓発に対して混乱している方も多いかもしれません。特に中高齢者の労働者はこれまでの仕事に対する価値観が通用しなくなったと感じているかもしれません。実際に就業環境に関する考え方は大きく変わってきています。

 このハラスメント問題の特徴は労使間トラブルの中でも特殊だと言えます。なぜなら、このハラスメント問題は労働者間で起こることが圧倒的に多いからです。上司、部下のハラスメント問題も労働者間と言えます(上司も役員より労働者の割合が高いですから)。このハラスメント問題に会社が対策を講じることが必要だとされているのです。

 では、自分が加害者にならないためにはどうすればよいのでしょうか?その為にはシンプルに考えることが有効です。部下に接する時に「業務上の指導者」だと認識することです。間違っても「人生の指導者」などと思ってはいけません。同僚に接する時も同様です。あくまで「業務上の仲間」ですから。少し味気ない物言いかもしれません。寂しさを感じる人もいるでしょう。そうではありません。プライベートの時間を業務外に持つ人が増えただけなのです。なぜこうなったのでしょうか?

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