​◇なぜ年金がここまで不安視されるようになったのか?

◇年金の正しい知識

現在、若者の間での年金不信が続いています。さらに企業の間からも年金不信が続いています。大きな問題は「社会保険庁」の不正などに代表される厚生労働省に対する不信です。

実際、その不信は当然で当該省庁は猛省すべきところなのですが、現在の年金問題の大本は歴史を知れば理解することが出来ます。このページでは、年金問題はある意味不幸な巡り合わせで現状に至っていることを説明し、システム自体に責めるところがない良い部分を説明します。

◇世代間扶養の正しい知識
若者が年金受給者を支えているのか?
 

 結論から言うと、年金保険料は給付金額で変更するシステムではありません。現状の年金法のシステムではたとえ給付金額が保険料納付額を超えたからと言ってもいきなり年金保険料を値上げ出来ないシステムなのです。2重3重のプロテクトがかかっており、賃金上昇率と物価上昇率をリンクした計算システムなので、自由に保険料を変更するには法改正が必要です。ですので、法改正にならないように監視は必要でしょうが、現状では無理です。

 さて、よくある例えで、若者〇人に高齢者一人を支えるというものがあります。この例の場合、未来に向けてどんどん〇人が少なくなっているので、将来の不安を煽るというものです。これの問題は、年金法そのもののシステムをよく知らずに人口だけを参考に煽るというシステムです。つまり、正確な分析をしているとは言えません。これは不安商売というもので、不安を煽ることで視聴を増やすという方法です。気を付けましょう。

​ しかし、実際に若者〇人に高齢者一人は現に格差が広がっているではないか、という意見があるでしょうし、それ自体は「事実」です。優秀なシステムを作る力のある人々がなぜ、このことを理解出来なかったのでしょうか?ここにこそ、年金問題の根幹があります。

◇昭和60年年金法大改正はなぜ行われたのか

 上の図は、日本の人口推移です。この図全体を見れば明らかに急速に人口が減少していくことが一目瞭然です。しかし、この赤のラインまでは人口はメキメキと上昇しており、この時点で将来の人口がここまで減少するとはほとんどの人が予想できなかったのです。実際、マスメディアでは「人口増加を見越しての海外移住」などが勧められていたぐらいだったのです。「人口増加問題」が誌面を賑わす正にその時、ついに社会保障改革が実施され、年金法の大改正が行われたのです。しかも、「人口は上昇し続ける仮定の上で」

 

 そう、誰もこの契機がバブルで、その後すぐにバブル崩壊をし、まさか「失われた20年」が日本を覆いつくすなど予想だにしていなかったのです。まさに最悪のタイミングの改正だったわけですが、これは誰も責めることは出来ないのではないかと私個人は考えます。それぐらい、日本は熱に浮かれていたわけですから。

◇昭和60年年金法大改正による問題とは
◇3号被保険者の創設

第3号被保険者とは会社等で働いている被保険者の扶養に入っている方のことです。それまでは年金被保険者ではありませんでした。それまでの社会の概念としては『会社で働いている男性が家族を養うので、男性の退職後にその男性に年金支給をすることで扶養家族も保護できる』という考え方でした。その第3号被保険者が創設されたのは社会の変遷に影響されています。

◇3号被保険者が必要とされたのはなぜか

1960年から日本は高度経済成長期により経済成長をしましたが、それに伴い女性の社会進出が進み、正社員で働く女性が増えました。その結果共働きと呼ばれる働き方が増え、そういった家庭には二人分の年金が支給されるという想定がされることとなります。専業主婦の家庭は一人分です。さらに、離婚した際、専業主婦の女性は収入の道がなくなるわけですから、専業主婦の方は離婚にハードルが高くなるという問題も指摘されてきました。経済が成熟するに従い、個々人の人権や生活に法律が追い付いていないという状況になっていたのです。そこで、第3号被保険者という新しいカテゴリーを設定し、扶養されている間は『年金保険料を支払っていることとする』という制度にしたのです。では、この制度が出来た時から加入期間が開始されているのでしょうか?いいえ、違います。この加入期間は「過去に遡って加入していた」とみなされたのです。そのため、支給すべき社会保障費が一気に増大するという危惧がありました。それなのに、なぜ創設したのでしょうか?

◇高齢化の予測
 

この当時から高齢化社会の到来は予測されていました。その為、年金支給の年齢引き上げも現在に至るまで徐々に行われています。リタイア後の生活保障は国にとって喫緊の課題という認識がされていました。そして、女性の権利拡大という世論の突き上げもありました。とはいえ、これだけの大改革です。なぜやろうと思えたのか?それは『人口は高齢化の分だけ増加する』という考え方でした。この当時、世間を賑わせたのは「このままの人口増加を続けると2050年には日本国内では日本人を支えられない」というマスコミの煽りでした。あれ?現在と違いますね??つまり、厚労省は(というより、日本の大部分が)「社会保障財源は今後も増加する(日本は今後も経済成長するから)」という考え方でした。その根拠は「経済成長を続ければ会社から厚生年金保険料を半分取れるので、取りやすい」という考え方でした。それはその後、完全に裏目に出てしまいます(失われた20年という大不況で中小企業は厚生年金保険料を払えず、そのまま倒産する企業が続出した)。法律の大改正ですから国会での審議を経ています。社会保障の充実ということで当時は歓迎されました。ですから、この読み違いで厚労省を責めることは間違いで、その後の不況を悪化させた日本の経済政策を責めるべきです。

◇第3号被保険者の今後

第3号被保険者は将来的になくなっていく可能性があります。それは、そもそも第3号被保険者の保険料は誰も払っていないからです。最近「専業主婦の年金の減額はおかしい、主婦は職業だ」というツイッターの書き込みがありました。これには大きな誤解があります。『年金保険は本来は支払った保険料に対して保障される権利』であって、『職業に対して保障する』ものではありません。ですから『生活保護の減額』とは訳が違います。ま、しかしながら、もともと支払のない第3号被保険者なるものを設定してしまった厚労省のミスもあるでしょうね。彼らはとても優秀です。ですが、優秀だからこそ「決められた年金保険料を支払わない」という考えが理解できないようで、企業が保険料を納めないという想定を全くしないらしいのです(ということは、収入見積もりが異常に成績が良いということになりますね)。つまり、素晴らしい『机上の空論』が多いということですね。ただ、第3号被保険者のカテゴリーの方にも年金は今後も支給されますし、年金自体がなくなることはありません。これは先進国の義務のようなものですから。変わるのは財源や、仕組みだけです。ですから、根本的な不安を感じなくても良いとは思います。

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